土壌・地下水汚染
近年、工場・事業場におけるISO14001取得などのための自主的な汚染調査の実施、工場跡地等の再開発・売却時の汚染調査の実施、水質汚濁防止法に基づく地下水モニタリングの拡充等が進むにつれ、工場跡地や市街地などで土壌汚染が明らかになるケースが増加しています。
■土壌地下水汚染図
土壌汚染状況調査
土壌汚染に係る土地を的確に把握するために、汚染の可能性のある土地について、一定の機会を捉えて土壌汚染の調査を指定調査機関(環境大臣が指定)が、土地の所有者等の依頼を受けて実施します。
■土壌汚染状況調査の調査方法
特定有害物質の種類 | 第一種特定有害物質 (揮発性有機化合物) |
第二種特定有害物質 (重金属等) |
第三種特定有害物質 (農業等) |
|
試料採取の 考え方 |
汚染のある土地 | 対象区画 (10m格子)内の1地点 |
対象区画 (10m格子)内の1地点 |
対象区画 (10m格子)内の1地点 |
汚染のおそれが 少ない土地 |
30m格子内の1地点 | 30m格子内の一部対象区画で 複数地点均等混合 |
30m格子内の一部対象区画で 複数地点均等混合 |
|
汚染のおそれが ない土地 |
調査の必要なし | 調査の必要なし | 調査の必要なし | |
診査方法 | 土壌ガス調査 ↓ 深層部土壌溶出量調査 |
表層部土壌溶出量調査 表層部土壌含有量調査 |
表層部土壌溶出量調査 |
※「汚染のおそれが少ない土地」・・・就業中の従業員が出入りするまたは利用する事務所、通路、駐車場(事業用)、中庭等の空き地など
※「汚染のおそれがない土地」・・・グランド、従業員用居住施設、山林など
【第一種特定有害物質】
揮発性有機化合物による土壌・地下水汚染機構は、その多くが地表面又はその近くから地下に浸透して土壌や地下水を汚染させるものです。
、一般に揮発性有機化合物は粘性が低く、比重が水より重い※ので、透水性の高い地層中を地下に浸透しやすく、地下水面に到達した揮発性有機化合物は、不透水層の直上に停滞して地下水中に溶出し、地下水汚染を引き起こします。
※ベンゼンについては、他の揮発性有機化合物と異なり、水よりも比重が軽く(比重0.87)、また油に含まれるため、油分とともに地下浸透することが多い。このため、地下水面の上部に存在し、移動しやすい事に留意する必要があります。
そのため、表層土壌ガスを調査することにより、土壌汚染や地下水汚染を引き起こした揮発性有機化合物の分布を把握することができます。
●表層土壌ガス調査 地表から概ね80〜100cmの深度の地中において土壌ガスを採取し、土壌ガス中の特定有害物質の量を測定します。なお、地下水の存在により土壌ガスが採取できない場合には、当該地下水を採取し、地下水中の特定有害物質の量を測定します。 |
土壌ガス調査採取状況 |
コンターマップの例
※図をクリックすると拡大図が表示されます |
【第二種および第三種特定有害物質】
重金属等による汚染はその特性から、揮発性有機塩素化合物による汚染と異なり、多くの場合は局所的です。しかし、六価クロムやシアンなどのように水に対する溶解度が高く、移動性の高い物質の場合や通常は移動性の低いものであっても油分と共存し、油分に重金属等が溶解している場合は、汚染が広い範囲に拡散することがあります。
●土壌溶出量調査及び土壌含有量調査 表層(地表から5cm)の土壌と、5〜50cmまでの深さの土壌を採取し、2種類の土壌の量が均等になるように混合し、土壌溶出量または土壌含有量を測定します。 |
表層土壌採取例 表層調査の段階から、細かく土壌を評価致します。 |
現場状況図
詳細調査および観測井戸の設置
表層土壌調査の結果を踏まえ詳細調査(深度方向調査)を実施します。また、地下水の採取、地下水位の観測と地下水流向調査を行うために、土質や水理条件を考慮し、観測井戸を設置します。
ボーリング状況 |
井戸設置状況
|