ジオトモグラフィ
弾性波トモグラフィ
【原 理】
弾性波トモグラフィ探査とは、医学分野で用いられているX線CTの手法を地盤、岩盤の弾性波探査(特にボーリング孔―孔間、地表―ボーリング孔間、調査横坑―坑間)に応用し、より詳細な弾性波速度分布断面を求めようとする探査法です。
弾性波トモグラフィ探査は、調査対象領域を取り囲むように測定を行ない、対象領域を通過してきた弾性波の初動走時の情報を用いて、領域内の速度分布を逆解析(インバージョン)手法により求めるものです。
【測定方法】
弾性波トモグラフィの測定方法は、従来の孔間速度測定と基本的には同じです。測定機器はPS検層や弾性波探査で使用するものと同じMcSEIS SX-48成分の測定器を使用します。
孔中受振器は多連式孔内圧着型を使用します。受振器の間隔は孔中、地表共に探査範囲に合わせて設定します。弾性波の発振源としては発破・カケヤ等を用いて、受振器の間隔と地形を考慮して起振間隔を設定し起振をおこないます。
■弾性波トモグラフィ 測定概要図
【適用上の問題点】
弾性波トモグラフィ探査を実際のフィ−ルドに適用する場合、次のような問題点があり、これらを念頭においた調査計画の立案を要します。
- 探査対象物において起振源から受振点の距離が離れるほど解析精度がおちます。
- 地質の性質や構造が非常に複雑である場合が多く、弾性波動の伝播は単純な経路を伝わるわけではないので、探査対象物の位置を決定する上で精度が悪くなります。
- 表面付近は、表土、崖錘などの分布が不規則であり、地表面で波動を観測する場合、その影響を強く受け、場合によっては、探査対象物がそれに埋没します。
以上の問題を改善するため、現地の諸条件(地形,地質,探査対象物の分布状況)を検討して、出来るだけ、ボ−リング孔を適切な位置に掘削し、その孔をも起振孔や受振孔として利用して、キメ細かい測定を行う必要があります。
- 起振源から受振点の間では、できるだけ距離が短く探査対象物が、その間に含まれるような展開が望まれます。
- 探査対象物の分布状況等を、でき得る限り事前に把握し、適切な起振・受振計画をたてます。
- 測定システムとしては、安定して強力な発振装置、及び地動を正確にトレ−スする受振器とその設置そして記録系が必要です。
比抵抗トモグラフィ
【原 理】
比抵抗トモグラフィは、比抵抗二次元探査において探査深度の増加に伴った分解能の低下を補う目的でボーリング孔を利用し、電気探査にトモグラフィ手法を応用したものです。一般にトモグラフィとは、調査対象をその周辺の様々な方向から多数の投影データを取得し、それらを用いて画像化する技術です。
電流電極より通電することによって生じる等電位面は、均質媒質中では電流源を中心とした同心円を描きます。
しかし、不均質な異常体が存在する場合、電位面は同心円となりません。この電位面の変化を電位電極の位置を変化させて数多くの見掛比抵抗データを測定することにより、調査対象を比抵抗異常として検出します。
【測定方法】
地表およびボーリング孔を利用して探査対象を取り囲むように電極を配置し、それらの電極を用いて地盤に電流を流し、発生した電位差を測定します。ボーリング孔内の電極は、一般に多芯ケーブルに一定間隔で電極を取り付けた孔中ケーブルを使用します。測定電極の組合せについては、比抵抗二次元探査同様、各種電極配置の選択が可能です。
■比抵抗トモグラフィ 測定概要図
【特 徴】
- 探査対象を取り囲むように電極を配置するため、地表のみの探査と比較して、探査精度が向上します。
- 電極間隔を小さくすると、電極周辺の分解能が上がります。
- ケーシング内は測定不可能なため、孔壁保護には塩ビ管(有孔管)やネトロンパイプを使用します。
- 斜孔の場合、電極ケーブルを塩ビ管に固定し、塩ビ管とともに挿入することで測定が可能となります。
【適用限界】
- 孔間距離に対して探査対象が小さい場合、検出が困難となります(一般に探査対象は、孔間距離の1/10程度以上)。
- 地下水以浅の孔内電極は使用できません(注水により孔内を水で満たすことができる場合や孔壁に圧着できる場合は使用可能となります)。
■比抵抗トモグラフィ 探査事例1
■地中の防空壕を検出した例 比抵抗トモグラフィ 探査事例2
※図をクリックすると拡大図が表示されます。