堤防調査
調査概要
近年、局地的な集中豪雨等による河川堤防の被害の発生例も多く、その質的整備の重要性が高まっています。したがって、既存堤防ならびに基礎地盤の土質構造を把握し、浸透危険箇所の有無を判断し、補強改修を実施していくことが河川防災上重要な事と言えます。
河川堤防は線形の長大構造物であるため、強度や水理構造が一様ではなく、局所異常の抽出が調査の主眼になることから、経済性や施工性の面でボーリングのみの調査には限界があり、物理探査の適用が期待されています。
調査で把握すべき項目としては、堤体の土質構成や異物の有無・透水層や液状化層の分布状況・樋門など構造物周辺の空洞や緩み・護岸背面の空洞の有無などがあげられます。
■最適な探査手法の組み合わせ
物理探査手法および得られる物性値 | 河川堤防調査で求められる特性 | 探査深度 (10m) |
作業性 (500m/日) |
分解能 (2〜3m) |
|||||
探査手法 | 物性 | 土質構成 | 力学的特性(密度・N値・一軸圧縮強度) | 水理学的特性(間隙率・含水比・透水係数) | 異常部の推定 | ||||
弾性波探査 | 屈折法 | P・S波速度 | ○ | ○ | △ | ●弾性波の異常(低速度→緩み領域)(高速度→砂礫層) ●回折波の発生(廃棄樋門・空洞) |
○ | × | △ |
反射法 | P・S波速度 | ○ | × | × | ○ | × | ○ | ||
表面波法 | S波速度 | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ||
電気探査 | 比抵抗法 (2次元・3次元) |
比抵抗導電率 | ○ | △ | ○ | ●比抵抗値の異常(高比抵抗→砂礫層,不飽和)(低比抵抗→飽和)(空洞・緩み領域) | ○ | × | ○ |
電磁探査 | EM探査 | △ | × | △ | △ | ○ | △ | ||
地中レーダ探査 (パルス・連続波) |
電磁波速度 (誘電率) |
○ | × | × | ●電磁波速度の異常 ●回折波の発生(空洞・異物) |
パルス:× 連続波:○ |
パルス:○ 連続波:× |
◎ | |
河川堤防調査における調査 | ●土質構成の推定 ●築堤履歴の推定 |
●堤防の強度推定 ●緩み領域の推定 |
●透水層の推定 ●堤体の含水率推定 |
●空洞や矢板等の異物の検知 ●廃棄樋門等の検知 |
■堤防診断技術
診断項目 | 診断内容 |
概略踏査 | 堤防全体の状況を把握する。 |
変状調査 | 目視観察を行い,漏水・法面のはらみ等を劣化図として整理するとともに写真撮影を行う。 |
コア採取 ファイバースコープ |
目視観察調査及び地中レーダ探査の確認調査として削孔を行い、吹付厚さ・空洞厚さを確認するとともにファイバースコープで撮影を行う。 |
調査結果例
■表面波探査:S波速度断面図
※図をクリックすると拡大図が表示されます。
■比抵抗探査(2次元探査):比抵抗二次元断面図
※図をクリックすると拡大図が表示されます。
■比抵抗探査(3次元探査):比抵抗三次元スライス断面図
※図をクリックすると拡大図が表示されます。
■電磁探査(EM探査):比抵抗二次元断面図
※図をクリックすると拡大図が表示されます。
■電磁探査(EM探査):見掛比抵抗平面図
※図をクリックすると拡大図が表示されます。
■地中レーダ探査:パルスレーダ探査
※図をクリックすると拡大図が表示されます。
■地中レーダ探査:連続波レーダ探査
【 ▲ページトップへ 】